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京都地方裁判所 平成2年(ワ)1581号 判決 1992年11月06日

原告 西日本旅客鉄道株式会社

右代表者代表取締役 角田達郎

右訴訟代理人弁護士 天野実

被告 中場良樹

右訴訟代理人弁護士 早川光俊

同 森信雄

同 坂田宗彦

同 稲村五男

同 飯田昭

同 小笠原伸児 外八名

主文

一  原告の請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一原告の請求

被告は、原告に対し、別紙物件目録記載の建物部分(以下「本件建物部分」という)を明け渡し、かつ、平成元年四月一日から右建物部分の明渡しが完了するまで、一か月当たり九万二三〇〇円の割合による金員を支払え。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  日本国有鉄道改革法(以下「国鉄改革法」又は単に「法」という)による改革実施前の日本国有鉄道(以下「旧国鉄」という)は、京都駅構内に本件建物部分を含む別紙物件目録記載の建物全体を所有していたが、昭和六二年四月一日、右改革の実施に伴い、新たに設立された原告に対し、右建物全体を出資しその所有権を譲り渡した。

被告は、本件建物部分で理髪業を行い、これを占有している。

2  本件建物部分の一か月当たりの相当賃料は九万二三〇〇円を下らない。

3  よって、原告は、所有権に基づき、被告に対し、本件建物部分の明渡し及び平成元年四月一日から右建物部分の明渡しが完了するまで一か月当たり九万二三〇〇円の割合による賃料相当の損害金の支払いを求める。

二  請求原因に対する認否

請求原因1の事実は認め、同2の事実は否認し、同3は争う。

三  抗弁

1  合意に基づく占有権原

(一) 職場営業承認及び財産使用承認

旧国鉄は、職員の福祉増進を図るため、職員以外の者が職場内で飲食店等の一定範囲の営業を行うことを認めていた。そして、旧国鉄の大阪鉄道管理局は、右のような職場営業に関する業者との契約関係を規律する内規として、大阪鉄道管理局職場営業承認取扱基準規程(以下「職場営業規程」という)を定め、業者にもこの遵守を約束させて、職場営業の開始及び継続を承認していた。

また、旧国鉄は、その所有する不動産等を第三者に貸し与える際の契約関係を規律する内規として土地建物等貸付規則(以下「貸付規則」という)を定め、これに従って旧国鉄財産の使用を承認していた。

(二) 本件合意の存在

被告は、昭和四一年、旧国鉄との間に対し、本件建物部分を使用して理髪店営業を行う旨の申込みをし、旧国鉄は、職場営業規程に基づく右営業の承認を行った(以下、旧国鉄と被告との間のこの合意を「本件合意」という)。職場営業規程により、被告に対する営業承認の有効期間は一年間とされていたが、営業承認は、長年にわたり、毎年更新されていた。

さらに、旧国鉄は、理髪店営業のため本件建物部分の使用承認を行い、当初、年額六万円の使用料を徴収していた。もっとも、昭和四二年四月以後、使用料は徴収されないことになった。

なお、原告設立後は、昭和六二年七月九日付けで昭和六二年四月一日から一年間、昭和六三年六月二一日付けで昭和六三年四月一日から一年間、それぞれ、職場営業の暫定承認というかたちで、本件建物部分の使用が継続されている。

(三) 本件合意の法的性質

旧国鉄は、職場営業を承認した理髪店の理容料金の水準を市中の料金の六割程度に統制していたが、営業承認を受けた理髪業者の団体から、市中の料金の七割程度の理容料金の水準を承諾して欲しい旨の要望を受けた。そこで、旧国鉄は、理容料金の水準を据え置く代わりに、理髪店舗の使用料を無償とした。したがって、本件建物部分の使用料が無償とされたとはいえ、被告は、旧国鉄の一方的な便宜供与によって本件建物部分を無償使用していたわけではなく、旧国鉄の意向に従い低廉な理容料金で営業を続けていたのであり、実質的には、労務の提供により使用料を支払っていた関係にある。

また、被告は、本件建物部分で理髪店を営業するにつき、自己の名で保健所への届出を行い、旧国鉄から何ら内装や備品の提供を受けることなく、多額の費用を投じてこれらを調達し長らく維持・管理してきたのであって、本件建物部分の占有の独立性は高い。

さらに、本件合意は、一年の営業承認の期間を毎年更新するという形式をとっていたが、更新は職場営業規程の違反等の事由のない限り自動的であったから、本件合意は、長期にわたる本件建物部分の使用継続を前提としている。

したがって、本件合意は、賃貸借契約たる性質を有する契約である。

(四) 権利義務の承継

原告は、国鉄改革法一九条に定められた旧国鉄の事業の引継ぎ並びに権利及び義務の承継に関する実施計画(以下「承継計画」という)に従い、同法二一条の定めにより、昭和六二年四月一日、本件建物部分の所有権を引き継ぐとともに、本件合意による権利義務関係も承継した。したがって、被告は、本件合意により、原告に対する関係でも本件建物部分を適法に占有しうるものである。

2  権利の濫用

仮に被告が本件使用権を主張しえないとしても、次のような事情に鑑みれば、原告の本訴請求は、権利の濫用として許されないものである。

(一) 原告は、本件合意を否定する実質的な理由として、職場規律の維持のために職場での理髪店営業が好ましくないとの事情を主張しているが、被告の行う理髪店営業により職場規律が乱れたような事態は全く生じておらず、本訴請求は明渡しを求める正当な理由を欠くものである。

(二) 被告は、八台の理容椅子と多数の従業員を擁して、一日平均四〇名の理容客を得ている。被告も従業員も本件建物部分での理髪店営業を唯一の収入源としているのである。しかも、被告は、多額の費用を投じて長年(父の代から通算して約五〇年)本件建物部分での営業を継続し、今後も営業の継続を期待していた。被告は、昭和八年生まれの五九歳でもあり、今後、市中に店舗を探して新たな営業を開始することは資金的にも年齢的にも困難である。

(三) 原告は、将来、本件建物部分を含む建物を取り毀して京都駅構内に新たな駅ビルを建築する予定であり、本件建物部分を自ら現実に使用する必要はない。そして、原告としては、被告に対し代替店舗を提供したり、立退料の提供をすることは困難ではないのに、過去にこのような交渉は一切なかった。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1(一)、(二)の各事実は認めるが、同(三)、(四)の各事実は否認する。

本件合意に関する権利義務は、国鉄改革法の承継計画により旧国鉄から原告に引き継がれるものではないから、被告は、本件使用権を原告に対抗できないものである。

すなわち、承継計画(<書証番号略>)によれば、原告が旧国鉄から承継する不動産について行われた財産の使用承認にかかる権利義務については、承継の対象となる旨定められている。被告の本件建物部分の財産使用承認は、昭和四二年七月に行われ、その後二度の更新を経て、昭和四九年三月三一日に期間が満了している。それ以後、被告に対する職場営業承認は行われたが、財産使用承認は行われていない。したがって、財産使用承認を伴わない本件合意は、承継計画の対象外である。

2  抗弁2は争う。

原告は、昭和六二年三月三一日をもって最終の職場営業承認の有効期間が満了し、本件合意が失効してからも、二度の暫定承認により、被告に対し、昭和六二年四月一日から平成元年三月三一日まで二年の長期にわたり本件建物部分の明渡しを猶予していたのであり、本訴により突如明渡しを求めているわけではない。したがって、原告としては、無償契約たる本件合意が失効した後も誠意を尽くしているのであり、原告の本訴請求が権利の濫用であるとはいえない。

五  再抗弁(本件合意の終了)

1  本件合意に関する最終の営業継続承認の有効期間は、昭和六一年四月一日から同六二年三月三一日までの一年間であったところ、その後の職場営業承認は行われていないから、本件合意は期間満了により終了した。そして、原告は、二度の暫定承認により、被告に対し、昭和六二年四月一日から平成元年三月三一日まで本件建物部分の明渡しを猶予していたが、この猶予期間も満了した。

また、そうでないとしても、旧国鉄は、昭和六一年一二月一九日、書面により、職場営業規程に従い本件合意を解約する旨の意思表示をした。

2  理髪店の職場営業は、鉄道事業を行う旧国鉄及びこれを引き継ぐ原告の業務遂行上、職場規律の維持に支障があるので、その営業承認を継続させるのは相当ではない。したがって、本件合意を終了させる旨の旧国鉄の意思表示には合理的根拠がある。

六  再抗弁に対する認否

再抗弁事実は否認する。抗弁1に記載の事実関係に照らせば、本件合意は借家法の適用がある賃貸借契約であるが、そうでなくとも、少なくとも賃貸借類似の継続的契約であるから、被告の契約違反等のやむをえない事情のない限り、営業承認の期間満了後も更新により当然に本件合意は継続するし、その解除も正当化されることがないというべきである。

第三証拠<省略>

理由

一  請求原因1の事実は争いがないので、被告の本件建物部分の占有権原について判断するに、当事者間に争いのない抗弁1(一)、(二)の各事実に、<書証番号略>並びに被告本人尋問の結果によれば、以下の事実が認められる。

1  被告の父である訴外中場藤太郎は、昭和一八年ころ、旧国鉄の承認を得て、京都駅西口に「国鉄職員家族理容室」を開設し、京都駅構内で理容店の場所を二度移転した後、昭和四〇年に本件建物部分で理容店を営業するようになった。被告は、昭和二八年ころから右訴外人の理容業の手伝いをしていたが、同人が健康を害したため、昭和四一年六月ころ、旧国鉄との間で本件合意をし、改めて自己の名で旧国鉄から職場営業承認を受け、本件建物部分で理容業を開始した。旧国鉄がこのような職場営業を認めるのは、職員の福利厚生に資する目的で、職員やその家族に低料金での理髪サービスを受けさせるためであり、理容料金も市中の料金の六割程度に統制されていた。被告の理容料金は、昭和五八年一二月以後一五〇〇円であり、現在は一七〇〇円であるが、被告の行う理髪サービスは簡略化されたものではなく、市中の理髪サービスと大差のないものである。

2  本件合意は、旧国鉄の職場営業規程に従うものであり、同規程により営業が承認される期間も一年とされているが、新規の承認については資格審査を経て総務部長が行うとされているのに対し(同規程4条、5条)、継続の承認については営業名義・営業種別・営業場所・営業内容に変化のない限り管理箇所長の権限にて行われるとされており(同規程8条)、一年の営業承認が反復継続されることが予定されていた。実際にも、被告に対する営業承認は、昭和六一年まで二〇年にわたり継続されていた。

また、職場営業規程には、営業承認は、営業者の死亡・解散、営業者の同規程違反、営業資格の喪失、営業を他人に行わせたことなどの事由が生じた場合(同規程9条(1) ないし(6) )のほか、総務部長が必要と認めたとき(同規程9条(7) )にも取り消される旨の定めがあった。

3  旧国鉄の大阪鉄道管理局管内においては、職場営業承認は、厚生課が行っていたが、営業に必要な旧国鉄の財産の使用承認は事業部の所管とされていた。被告の行う職場営業には建物の使用が不可欠であったので、旧国鉄は、昭和四二年七月、被告に対し、職場営業承認とは別に、昭和四二年三月三一日から三年間の本件建物部分の使用承認を行い、その使用料として年額六万円を徴収した。使用料の徴収は、大阪鉄道管理局の職場営業規程に基づくものではなく、旧国鉄本社の土地建物等貸付規則に基づくものである。

その後、旧国鉄は、職員の業務能率増進のため必要な福利厚生施設の用に供する財産については使用料は徴収しないことができる旨の内規を定め、昭和四二年四月以後、被告を含む全ての職場営業につき、使用料を無償とした。

もっとも、この使用料無償化は、利用職員へのサービス向上のために還元されるものであって、営業者の利益としてはならないとされ、営業者に対しては、無償化の代償としての具体的な利益還元措置をとるように指示されていた。

4  その結果、職場営業承認以外に財産の使用承認を行う意義は薄れ、昭和五〇年六月以後、職場営業をさせるためには、総務部長の営業承認だけで足りることになり、所管も厚生課だけとなった。本件建物部分の使用承認は二度更新されたが、昭和四九年三月三一日に使用承認期間が満了した後、使用承認という手続は行われていない。

5  さて、被告は、理容店を職場営業するために、旧国鉄から本件建物部分、これに付随する暖房設備や天井照明の提供を受けたが、内装をはじめ椅子、鏡、冷房設備その他一切の設備、備品を自前で調達した。そして、被告は、床や壁の内装替えを五、六年毎に行い、適宜理容椅子の交換を行っていた。これら設備投資の費用についてみると、昭和四五年ころの冷房設備の設置のため一〇一万二〇〇〇円、昭和五〇年ころの回転椅子と洗面台の設置に一八五万八〇〇〇円、昭和六〇年の床張替えに一二四万円、昭和六二年一一月の回転椅子の交換に九〇万円を要している。

また、被告は、専従の妻の外、常勤の従業員三名又は四名及び非常勤の従業員二名程度を雇用し、一日四〇名程度の利用客を得て、昭和六一年度は一四二九万円、昭和六二年度は一三〇三万円、昭和六三年度は一四〇六万円、平成二年度は一六七三万円、平成三年度は一七六三万円の売上を得ている。

6  旧国鉄は、国鉄改革法により、昭和六二年四月一日以後分割民営化されたが、同法に基づく承継計画により、本件建物部分を含む建物全部が原告に引き継がれることになった。そして、これに伴い、本件合意に基づく被告の本件建物部分の使用関係も、同法に基づく承継計画(<書証番号略>)の第四の一の(五)5の定めにより原告に引き継がれるものとされていた。

7  ところが、旧国鉄は、分割民営化を間近に控えた昭和六一年一二月、被告に対し、昭和六二年三月三一日をもって旧国鉄としての営業承認が終了することを理由として、書面(<書証番号略>)により本件合意を解除する旨の意思表示をした。もっとも、この解除通知書には、「職場営業の存続を含む今後のあり方について、どのように位置づけるのか、土地・建物の使用料をどのようにするのか等について、現在鋭意検討中でございます」という留保の記載も付されていた。しかし、結局、旧国鉄は、昭和六二年二月、被告に対し、昭和六二年四月一日以後は企業として業務遂行上必要とするもの以外は職場営業を廃止することに決定したとして、書面(<書証番号略>)により、最終の営業承認(有効期間は昭和六二年三月三一日までの一年間であった)をもって、本件合意を期間満了により終了させることにし、新たな営業承認をしない旨の意思表示(以下「承認止め」という)をした。

8  その後、旧国鉄を引き継いだ原告は、昭和六二年四月一日以後、二度にわたり、一年毎の「職場営業暫定承認」を行ったが、平成元年四月一日以後は暫定承認も行わなかった。

二  右認定事実に照らして、本件合意の性質や終了原因について検討する。

1  まず、本件合意は、営業承認(有効期間は一年)の存続する限りにおいて、被告に対し、本件建物部分の占有を許すものではあったが、営業承認継続の際の審査は形式的な事項に限られていたこと、理髪店営業のためには多額の設備投資が必要であるのに旧国鉄はその全部を被告の負担としていたこと、本件合意に伴う財産使用承認の期間は営業承認期間と相応せず三年とされたことに鑑みれば、本件合意は、当初から営業承認の半ば自動的な継続による長期の存続を予定して行われたことがあきらかである。そして、営業承認が被告の職場営業開始から二〇年にわたり継続された事実も考慮するならば、本件合意は、単に一年の営業承認期間が満了したという理由だけでは旧国鉄において承認止めを行わず、原告もまたこれを期待して存続、維持されてきたものである。

2  また、被告は、旧国鉄との合意により、理容料金を低廉に押さえる必要があったことから、その収益も圧縮されざるをえなかったとすれば、本件合意に基づく被告の本件建物部分の無償使用は、旧国鉄の好意により一方的な便宜供与を受けた結果ではない。使用料の無償化が恩恵的なものでないことは、右一1及び3で認定した事実からもあきらかである。

3  したがって、旧国鉄が職場営業規程9条(1) ないし(6) に定められた具体的な営業承認取消事由に該当する事情がない場合に(本件においては、そのような事情は見当たらない)、同条(7) の任意的・抽象的な取消事由の定めにより、いつでも自由に営業承認を取り消したり承認止めを行って本件合意を終了させることができると解するのは、本件合意で約束された契約終了原因の解釈としては相当ではない。

しかし、対価たる金銭の授受を伴わない本件合意につき、賃貸借に匹敵するような厳格な終了事由の制約があるとまで考えるのも適当ではない。

思うに、本件合意は、有償契約と無償契約の中間に位置する継続的契約であるから、合意後の事情の変更もある程度弾力的に考慮され、その存続や廃止が決定されるべき性質を有すると理解するのが、契約当事者間の衡平に資するものである。したがって、職場営業の廃止を合理的なものとするような事情(たとえば、利用客の減少が著しく職場営業を継続させる必要が乏しい場合、職場営業に使用されている土地・建物の売却の必要が生じた場合など)が発生すれば、営業承認の取消(すなわち本件合意の解除)や承認止めも許容されるというべきであり、職場営業規程9条(7) の事由もこのような場合の営業承認の取消事由を定めたものと解すべきである。

4  この点に関連して、被告は、本件合意は借家法の適用を受ける賃貸借であるから、その終了には同法にいう正当事由が必要であると主張するけれども、前記認定の事実関係に照らせば、本件合意が賃貸借であるということはできず、右主張は採用することは困難である。

三  さて、原告は、職場での理髪店営業は、鉄道事業を行う旧国鉄やこれを承継することになる原告の事業遂行上、職員の職場規律の維持に支障が生じる旨主張する。確かに、そのような事情は、本件合意の終了を正当化する事情ということができる。しかし、本件においては、職場での理髪店営業が職場規律を混乱・低下させたこと、又はそのおそれがあることにつき、これを認めるに足りる十分な証拠が見当たらない。したがって、旧国鉄が被告に対して行った本件合意の解除や承認止めは、合理的な事由なくして行われたものといわざるをえず、その効力を生じないから、本件合意に基づく権利・義務は、国鉄改革法により旧国鉄から原告に承認されたものといわなければならない。すなわち、原告は、被告に対する職場営業の継続承認をすべきである(なお、職場営業承認は、多数の職場営業を一律に合理的に扱う要請を伴うものであるから、職場営業者と旧国鉄の間においては、一方当事者たる旧国鉄が合理的な範囲で職場営業規程を改定することにより契約内容の変更をなしうる旨の合意がされているというべきである。したがって、原告は、原告が定めた職場営業に関する内規があるならば、これに従って被告に対する営業承認を行うべきである)。

四  以上の次第で、被告は本件合意に基づいて適法に本件建物部分の占有を継続するものというべきであるから、原告の本訴請求は理由がないものとして棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 橋詰均)

別紙 物件目録

京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町六三七番二他八筆所在

鉄筋コンクリート造陸屋根地下一階・地上三階建事務所(現業事務所一〇号)

床面積 合計一八五二平方メートル

の建物(未登記・別紙図面(1) の斜線部分)のうち、

地下一階西側部分の一室約六一・八平方メートル(別紙図面(2) の斜線部分)

別紙 図面(1) (2) <省略>

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